大江戸の春
鐘一つ売れぬ日はなし江戸の春 (其角)
江戸では元旦からが春である。春とともに新年を迎えて、江戸では七日までが松の内。この間は家の掃除を行わないが、それは箒で幸福をはき出したりしないため。七日まで手足の爪を切らないのも理由は同じ。
「一年の計は元旦にあり」というように、元旦は心身ともに改まって屠蘇を飲み、雑煮を食べる。雑煮は元は烹雑(ほうぞう)と呼ばれており、いろいろの物(餅・大根・芋・昆布・いりこ)を煮まぜたから雑煮と呼ぶようになった。室町時代にはすでにあったが、この料理が次第に武家社会において儀礼化していき、やがて一般庶民に普及したものとみられる。一般的に関東では澄まし仕立てで四角い餅を入れ、関西では白味噌仕立てで丸餅が多くみられる。新年の行事としては、元旦の恵方(えほう)参り。初日の出。若水汲み。年賀の回礼。二日は初夢。初商い。三日は芸事初め。「恵方参り」とは、その年に歳徳神(としとくじん)が来る方角が恵方で、その方角にある神社仏閣に元旦未明に参詣する。今の初詣の原型がみられる。松の内に七福神を祀る寺社を順に参詣する。初日の出は江戸の東端、洲崎が有名であった。だが現代の東京と違って高層ビルがなかったので、高輪や芝浦の海辺、須愛宕山や神田明神、湯島天神の高台など江戸の市街からも初日の出がよくみえた。
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