人類の誕生
およそ500万年前、アフリカ大陸で活発な火山活動が始まった。その結果、アフリカ大陸を南北に貫く険しい山脈と渓谷が出現した。アフリカ大地溝帯、グレート・リフト・バレーと呼ばれる山脈と渓谷は、長さ7000kmにも及んだ。大地溝帯ができたことで、この地域の自然環境が次第に変わっていった。かつては、西からの湿った風がもたらす雨によって、熱帯雨林が広がっていた。しかし、高い山脈ができたことで、風下になる山脈の東側では、極端に雨の量が減ったと考えられる。東側でこのような新しい環境に適応したのが、アファール猿人だった。木の上でくらすのではなく、草原を2本足で歩くようになった。アフリカ、ケニア北部では猿人からさらに進化した人類の化石が発見されている。最新の発見では、アフリカのチャドでサヘラントロプス・チャデンシスはおよそ700万年前と推測される。150万年ほど前に現れた「現人」、ホモ・エレクトゥス。背骨を真っ直ぐに伸ばし、現代人とほぼ同じような姿勢で直立2足歩行していたと考えられている。そしておよそ10万年前、現在の人類と同じ種である「新人」、ホモ・サピエンス・サピエンスが登場する。原人は、ユーラシアへ拡散後、長い時間をかけて各地で独特な進化をした。ヨーロッパでは、約50万年前の古代型ホモ・サピエンスから、約20~4万年前のネアンデルタール人へ進化。アジアでは、原人が約30万年前まで存続した。
現代人の起源については、2つの説がある。現在ではアフリカ単一起源説はほぼ正しいとされている。
①アフリカ単一起源説
アフリカ産の現代型ホモ・サピエンスが10万~5万年前の間に世界中に拡散し、結果的にヨーロッパではネアンデルタール人が、東アジアでは残存した原人もしくは古代型ホモ・サピエンスが絶滅したという考え。
②多地域進化説
各地に分布した原人が古代型ホモ・サピエンスを経て現代型ホモ・サピエンスへ移行した、という考え。
1つ目のアフリカ起源説の方が、特にヨーロッパでは有力。
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