ゲティスバーグ演説
1863年7月3日、アメリカ独立戦争の転換点となったゲティスバーグの戦いは北軍の勝利で終結した。戦場に横たわる戦死者の数は、南軍北軍合わせて数千人にのぼった。11月19日、ペンシルヴェニア州南部のゲティスバーグで行われた国立戦没者墓地奉献の式典でリンカン大統領は「人民の、人民による、人民のための政治を地上から消滅させてはならない」と演説した。しかしこのとき、ほとんどの聴衆は疲れて演説を聴いていなかった。そして実はこの句はリンカンのオリジナルではなく、イギリスの宗教改革者ジョン・ウィクリフ(1320-1384)が1384年に出版した旧約聖書の序文に書いたものである。それもウィクリフの言葉を直接引用したものではなく、ユニテリアン派の牧師セオドア・パーカー(1810-1860)の著書からの孫引きだった。(Abraham Lincoln,Gettysburg,Theodore Paker)
« 水洗トイレの話 | トップページ | 「赤壁の戦い」はどこまでが史実か »
「世界史」カテゴリの記事
- クラナダ陥落(2021.01.02)
- マダガスカルの歴史(2020.02.28)
- ポメラニア地方の変遷(2020.02.18)
- アイルランド物語(2019.09.28)
- アフリカにさかえた古代王国(2021.01.14)
Parkerのことはさて置き、「人民の、人民による、人民のための政治」としてgovernmentを「政治」とすることに組していられますね。しかし、普通「政治」といえばまずpolitecsが来ましょう。そうすると「政治」にはgovernmentとpolitecsとの混在を許容することになります。しかしgovernmentとpoliticsとは非常に密接ではありますが、しかし全く違う現象を指す言葉です。governmentを「政治」と理解していたのではLincolnの真意から程遠いと言わざるをえません。関心のおありの向きは「"Government of the people, by the people, for the people,"とはなにか?」(2013.近代文芸社)をご参照ください。
投稿: 小林 宏 | 2015年11月19日 (木) 17時19分