ベーコンの図書分類と「知識は力なり」
近代の図書館で採用されている標準分類表であるDC、NDC、LC、ECなどのほとんどの図書分類表に、大なり小なりの影響を与えているといわれるのがフランシス・ベーコン(1561-1626)の知識の分類である。ベーコンは「知識は力なり」(For knowledge itself is power)と「ベーコン随想集」にある。ベーコンは「学問の進歩」(1605)で、学問全体を人間と神学に、大別し、さらに人間の知識には記憶、想像、理性の精神活動があるとして、記憶(歴史)想像(詩)理性(哲学)と三部門に分類している。このベーコンの知識の分類は1870年に発表されたハリスの分類表の主題の配列に取り入れられた。ハリスは、主題の配列がベーコンと逆であることから逆ベーコン式とよばれている。(ここまでは図書館学のテキスト的な内容である。)
現代の図書分類表の淵源となるベーコンの知識の三分類法は、経部を除くと中国の四部分類法と共通するものがある。漢籍の分類は今日でも四部分類法が採用されているが、その基本となったのは四庫全書である。四庫全書とは、清の乾隆帝が、当時集められる限り集めた古今の図書を、経・子・史・集の四部に分類編集した一大叢書の名称である。しかしながら、この経・史・子・集という分類は唐の高宗顕慶元年(656)に魏徴らが編集した「隋書経籍志」が基礎となっている。ベーコンは中国文化の影響を強く受けていたので、四部分類法がヒントになったのではないかと考えているが、根拠ある資料で立証できないのが残念である。(参考:ヘルゲ・ヘッセ「その一言が歴史を変えた」)
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