名は人の運命を左右する
天知茂といえば眼光鋭く眉間の皴と陰のあるニヒルな魅力で人気のあった大スター。本名は臼井登(うすいのぼる)といい、昭和24年京都の松竹の大部屋俳優だった。通行人ばかりで人からその名のとおり「陰がうすい」といわれた。昭和26年、新東宝のニューフェースに合格、芸名を天知茂に変えた。名古屋出身の天知は中日ドラゴンズの天知俊一と杉下茂投手から名前をパクった。以後、ニヒルな悪役で準主役級になり、「東海道四谷怪談」でスターとしての地位を築いた。テレビでは「非情のライセンス」のハードボイルドな刑事や明智小五郎シリーズで人気を不動のものにした。
実名と芸名と2つの名前を持つことは幸福になることが多い。実名は呪詛を封じるため忌み名として隠しておく。名前を変えることで、幸運をつかんだ事例は芸能界には枚挙にいとまない。「美空ひばり」「松田聖子」が本名のまま活動していたら、あるいはあれほどに人気はでなかったかもしれない。名は人の運命を左右する力がある。
ドラマ「刑事コロンボ」も「刑事コロンブス」だとあれほど世界でヒットしなかっただろう。英語で Christopher Columbusと表記するが、イタリアでは Christoforo Colombo。つまりイタリア移民色を前面に出したことがヒットの要因の一つと考えられる。ちなみにコロンボのフルネームは劇中ではっきりしない。「ホリスター将軍のコレクション」で警察手帳に「フランク・コロンボ」とあるが、本人が名乗ったことは一度もない。
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