ラストタンゴ・イン・パリ
本日のNHKBS プレミアムシネマはウッディー・アレン監督の「ミッドナイト・イン・パリ」(2011)。オーウェン・ウィルソン主演で、キャシー・ベイツ、マリアン・コティヤール、マイケル・シーンなど多彩なキャスト。監督は好みではないが、批評家から評価が高かったのと、パリが舞台なので見ることにする。パリの街を舞台にした映画は数限りなくある。「巴里の屋根の下」「巴里祭」「巴里のアメリカ人」「おしゃれ泥棒」「シャレード」。だがどれもパリの魅力を前面に出した観客に媚びたところがあり、現代人の悲しみを描いた作品は少ない。ベルナルド・ベルドリッチ監督の「ラストタンゴ・イン・パリ」(1972)は性の根底にある現代人の孤独を鋭くえぐったパリを舞台にした数少ない秀作である。最初この映画の主演は、ジャン・ルイ・トランティニァンとドミニク・サンダが予定されていた。マーロン・ブランドが「自分にやらせてほしい」と名乗りをあげてきた。サンダは妊娠のため降板し、20歳の無名の女優マリア・シュナイダーが抜擢された。シュナイダーは「栗色のマッドレー」「花のようなエレ」に端役で出演したことがある程度だった。しかし彼女の父が往年の二枚目俳優ダニエル・ジュランであることはあまり知られていない。当時ジュランは女優のダニエル・ドロルムと結婚していた。シュナイダーの母はルーマニア人女性で、私生児だった。だが幼いころから芸能界への憧れは強かった。どんな役でも体当たりする覚悟はあった。マーロン・ブランドはシュナイダーに初めて出会ったとき次のように語った。「これから随分いろんなことをしなくちゃならない。だから、できるだけ僕をじっと見つめてほしい」と。シュナイダーの演技は監督の期待以上のものだった。その後俳優のマルク・ポレルと噂されたが別れたらしい。ポレルは34歳で亡くなっているし、シュナイダーの結婚歴は聞かない。マリア・シュナイダーは2011年2月3日、パリで亡くなった。世界的スターでありながら薄幸な匂いがする。まるで「ラストタンゴ・イン・パリ」のために生まれたような人生だった。
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『危険なめぐり逢い』のマリア・シュナイダーは非常に良かったですね。なんとなく不幸な感じのする女優でした。日本人好みというのでしょうか。
投稿: さすらい日乗 | 2016年2月28日 (日) 16時43分