無料ブログはココログ

« 人物没年総覧 | トップページ | 嘆きの天使 »

2020年8月 8日 (土)

油すまし

   大映の怪獣映画「妖怪大戦争」(1968年)は見どころ満載の作品である。古代バビロニアの神ダイモンが江戸に出現して、神田隆に憑依する。日本古来のあらゆる神を退治するが、これを百鬼夜行の土俗の妖怪たちが撃退する。河童、雲外鏡、ろくろ首、のっぺらぼうなどいるが、リーダー格の「油すまし」に注目したい。油を盗んだ人間の霊が化けたもの。すました顔をしているのでこう呼ばれる。浜本隆一の「天草島民族誌」(1932年刊)に、近くの草積峠である時老婆が孫を連れて歩いていた折に「ここでは昔、油瓶を下げたものが出てきた」と言うと「今でも出るぞ」と言ってきたという伝承を採録している。この話が後に柳田國男の「妖怪談義」(1956年刊)に紹介された。映画「妖怪大戦争」では水木しげるの作画が基になっている。顔の造型については文楽の「蟹首」という人形を参考にしている。また知的で落ち着き払った性格で関西弁であることから、当時テレビの人気番組だった「てなもんや三度笠」の珍念をモチーフにしていると考えられる。

« 人物没年総覧 | トップページ | 嘆きの天使 »

民俗」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 人物没年総覧 | トップページ | 嘆きの天使 »

最近のトラックバック

2024年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31