てるてる坊主、じつは女性
晴れ祈願のお地蔵さんとして知られる奈良県五條市の生蓮寺はコロナ退散を願う「てるてる坊主」を募集したところ、全国から1000体以上が贈られた。なかには疫病退治に利く妖怪アマビエのてるてる坊主もある。ところで軒先に吊るして晴天を祈る「てるてる坊主」の風習はいつ頃から始まったのか。坊主というからには、疑いもなく男性がモデルだと思ってしまうが、由来を調べると、じつは女性である。中国では揚子江に伝わる伝承に、白い首、紅と緑の着物、ほうきを持った掃晴娘(サオチンニャン)というお人形を軒につるしてお天気を祈ったことから始まる。それが日本へ伝わる。奈良時代とも平安時代ともいわれるが、文献として明らかになるのは江戸時代中期から。この頃は現在と異なり折り紙のように折って作られるもので、より人間に近い形をしており、その形代を半分に切ったり、逆さに吊るして祈願した。「嬉遊笑覧」(1830年)には、晴天になった後は、瞳を書き入れて神酒を供え、川に流すと記している。現在のような、白い紙や布にくるんだ人形になったのは明治になってからのことかもしれない。
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