日本人の名前
1870年9月19日、戸籍整理のため、平民も苗字を名乗ることが許された。しかし当時国民は明治新政府を信用しておらず、苗字を附けたらそれだけ税金を課せられるのではないかと警戒し、なかなか苗字を名乗ろうとしなかった。しかし5年後の1875年2月には苗字を称することが義務づけられるようになった。
山口さん、宮崎さん、千葉さんのように、47都道府県名と同姓のなかで、苗字として存在しないのは、愛媛さん、沖縄さんの2つ。北海道は北海さん、大分さん、東京さんは稀姓。いま岸和田市に在住する東京さんのご先祖は江戸久米吉という名前であったが、そのルーツは江戸が東京と改称されるとき自分の苗字を東京と改名したらしい。
日本人の苗字の数はおよそ29万件もあり、その種類の豊富さでは世界一であろう。したがって稀姓も多い。躑躅森(つつじもり)、雲類鷲(うるわし)、鷦鷯(ささき)などなど。連続クイズホールドオンを見ていると、ヨガ講師の大豆生田範子さんがチャンピオンで登場。漢字四文字の苗字は珍しい。「おおまみゅうだ」と読むのだろうか。金田一春彦によると、日本語で「みゅ」という発音が現れる苗字は珍しいという。司会の山口智充は「おおまみえだ」と発音していた。読み方は27通りもあるという。
難読苗字の代表といえば「小鳥遊」。「たかなし」と読む。意味は、小鳥が遊ぶ→天敵(鷹)がいない→たかなし。むかし信濃国の高梨盛光が、長男に高梨、次男に鳥梨、三男に小鳥梨、四男に仁科の姓を与えたことに由来する。「月見里」。「やまなし」と読む。月が見える里→山が無い。「愛宕」は愛宕神社などあり、ふつう「あたご」と読まれる。だが元朝史などで知られる愛宕松男(1912-2004)は「おたぎまつお」と読む。「纐纈」ふつう「こうけつ」と読む。
ちなみに同姓同名はサトウ・ケイコが約22,000人でいちばん多い。漢字フルネームでは「田中実」が一番多い。
苗字は家系を示すものでもある。岩手県岩泉町で台風10号の被害の視察で内閣府の政務官が長靴を持参しておらず、同行者に「おんぶ」されて水たまりを渡ったことが話題となった。その政務官の名前は務台俊介。「むたい」という苗字は珍しいが哲学者の務台理作を思い出す。務台俊介の出身地も長野県なので一族とみてよい。(9月19日)
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