自然と調和しないものは醜い
コロナウイルス感染が大きな社会問題となっている。その対策にはテレワークやリモートなどITの活用を唱える評論家は多い。科学者は大企業や資本家たちと共同してさらに汚染を拡大しているように思える。19世紀ジョン・ラスキンはイギリスが機械文明化されて、自然の風景が破壊されて行くのをみて、「もしこのような状態がイギリスの将来であるならば、意匠も美術の発達もないだろう」といっている。これは産業革命に対する憎悪の言葉で、あくまで自然の美のうちに芸術の美を見出そうとした。「近代画家論」の中で、真の美術は自然を写すことである、と主張している。ラスキンの思想を受け継いだウィリアム・モリスも、「人間の手で作られた物は、とにかく或る形を必ず持っているものであって、もしその形が自然と調和して自然を助ける場合は、それは美しいものであるし、もし自然と調和しないで自然を妨げるものであれば、それは醜いものである」と言っている。彼等はあくなき人間の欲望を反省し、人間らしい生活を自然の中に確立することを考えたのである。
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