丈山忌
本日は石川丈山の1672年の忌日。宮本武蔵と吉岡一門との決闘で知られる一乗寺下り松を見た帰りに、洛北詩仙堂凹凸窠を訪れた。ツツジやサツキの庭園が美しい石川丈山(1583-1672)の山荘である。丈山は、大坂夏の陣で一番乗りで敵将を討ち取って功をあげるが、この時の軍律では先陣争いを禁じていたため、蟄居の身となった。そこで武士をやめ、学問に没頭した。その後、詩仙堂で30数年の閑適生活をし、1672年5月23日、90歳で没した。
閑適を写す 石川丈山
山棲 静幽に熟し
天性 伊優を辟く
黄巻 観れども尽くること無く
白駒 挽けども留まらず
暮堂 蚊蚋沸き
泉水 月星流る
酒に対して元亮を怜れみ
杖に倚りて阮修を憶う
病羸 双雪鬢
行理 一虚舟
淡を茹いて安楽に居り
道心 万事休す
山中の隠棲も長くなり、閑静な暮らしにもすっかり慣れた。自分は生まれつき、他人に媚びへつらうことをきらってきた。書物は、いくら読んでも尽きることなく無限にある。だが歳月は、ひきとどめようにも過ぎ去ってゆく。夕暮れの座敷には蚊やブヨが沸いたように襲来するが、庭の池水には、月や星が影を映していく。酒に向かうと、あの酒好きの陶潜のことを慕わしく思い、杖をついて出ようとすると、阮修の故事が思い出される。病みつかれたこの身は、すでに両鬢とも雪のように白くなってしまったが、生き方としては、虚舟のように気ままにしてきた。あっさりした食べ物で安らかに楽しみ、道心を抱いて、何事に対しても、心のはたらきをとめてしまう。(参考:石川忠久「漢詩を読む」1999)
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