西洋事物起源「スリッパ」
現代の日本家屋は様式のフローリング床が多いので、室内履きのスリッパを使用する家庭が一般的なスタイルである。日本でスリッパという呼び名があるのは、江戸末期にオランダ医シーボルトが伝えた「上沓(スリップルス)」から来ているという説がある。明治初頭、室内で靴を脱ぐ習慣の無い西洋人が土足で屋内へ入り込む問題が生じたため、それを解決するために徳野利三郎が1907年(1876年という説もある)に発案した上履きが、現在のスリッパの原型であると言われる。当時は、靴の上から履くためのものだった。
アジアや西洋の中世に起源をもつスリッパであるが、実際の形状にはさまざまで例外も多い。概して、かかと部分の高さがまったくないか、あってもくるぶしより低い、ヒールはないか、あっても低い、という特徴がある。典型はイスラム、インドのバブーシュカ(16世紀)と呼ばれるはきものや、朝鮮の婦人用のはきものなどに見られる。また西欧ルネサンス期の婦人用の室内ばき、タントゥフルと呼ばれたオーバーシューズの一種、さらに16世紀以降婦人用として流用したミュールなどもこの種に属する。のち、外出用のはきものが一般に閉鎖的で足にぴったりした形に変化すると、slipperの形状は欧米では室内ばきとして発達し、今では自室や風呂場など限られて使用されている。
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