「巴里祭」と「舞踏会の手帖」
トーキー黎明期、フランスの新鋭監督ルネ・クレールがトーキーに取り組んだ第一作が「巴里の屋根の下」(1930年)である。クレールは、アメリカの初期のトーキーの通弊ともなっていた台詞と音楽の乱用の愚を見て取り、映画はたとえトーキー作品になっても映像が優先すべきだという主張のもとに情緒的なパリの下町を見事に描いた。3年後の「巴里祭」(1933年)では前作を遥かにに凌ぐ作品となっている。主題歌の「巴里恋しや」は、登場人物の誰にも歌われない歌であるが、タイトル・バックから全編にコーラスや演奏で繰り返しあらわれる。この歌を作曲したのはモーリス・ジョベール(1900-1040)という新鋭の作曲家で、「舞踏会の手帖」(1937年)などでも知られるが、第二次世界大戦に従軍し、40歳で戦死したことが惜しまれる。
「巴里恋しや」や「舞踏会の手帖」のエレガントなワルツは今聞いても華やかな夢のような若い頃を思い出させてくれる。
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