リチャード・キンブル
リチャード・キンブルという名前は、「リチャード・キンブル。職業医師。正しかるべき正義も時として盲しいる事がある。」というナレーション(日本語訳では矢島正明)で始まるアメリカABCのテレビ番組「逃亡者」(1963~1967)の主演デビッド・ジャンセンが演じた役名であるが、「スーパーマン」のクラーク・ケントや「ベン・ケーシー」とともに日本人にもなじみの深いアメリカ人名のひとつである。
妻の殺害という無実の罪で死刑を宣告されたが、州立刑務所へ移送中に列車事故でからくも脱走した。無実の罪を自らの手で晴らすために、ジェラード警部(バリー・モース)の執拗な追跡をかわしながらも、なぞの真犯人「片腕の男」を捜す。「孤独と戦いながら、今日を、そして明日を生きるために」。毎回の逃避行のスリリングな展開とキンブルの知的で物静かな態度に女性ファンが魅了された。声優の睦五郎も適任だった。
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デビッドジャンセンが好きだった。知的で物静かな態度、口元のかげりと微笑み、よみがえる踏切のシルエット。
逃げゆく後ろ姿、無実を晴らす孤独の旅路、深夜のバス停留所。
夜霧にサイレンが泣いている。盲しいる正義の申し子ジェラードの追跡をかわしながら、なぞの真犯人「片腕の男」を捜す。窮地をさ迷うキンブル。
名前を変えたあなたを手配書の届かぬ小さな町でずっと守ってあげたかった。
デビッドジャンセンが好きだった。(永山キヨテルさんの作品を一部改稿)
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この「逃亡者」のテレビ・シナリオには実際の事件をヒントに書かれたらしい。モデルとなった医師サム・シェパードは1954年のオハイオ州の自宅で妻を殴り殺した罪で、有罪を宣告された。最高裁はマスコミの報道に陪審員が影響されたとして、1966年では証拠不十分で無罪になっている。
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