温故知新
「紫式部日記」の1008年11月1日の記述に源氏物語に関する記事があることから、この日が「古典の日」と定められている。司馬遷は「史記」のなかで孔子が多くの人の知らぬことを明快に説き明かしている逸話を記している。歴史に詳しく、細かな故実を知り、古典の整理をなしとげ、楽器の演奏にも通じていた。孔子はやがて弟子をとって人の師となる。
故きを温(たず)ねて新しきを知る、以て師為(た)る可(べ)し (為政篇)
先生が言われた。「古いことを学んで新しいことにも通じている、そうであれば人の師となれるだろう」と。
今日でもよく使われる四字熟語に「温故知新」がある。これは、人を教え導く教師になるためには、昔のことがらをよく研究してそれに精通し、また最新の知見をも得なければならない、というのがその意味である。つまり「温故」のみで、「知新」、新しい知識を持っていないと人の師にはなれない、というのが最近の解釈である。(諏訪原研「四字熟語で読む論語」)
これまでの多くの解釈では、古典を大切にして、古いものの中から時勢に合うものを汲み取っていくことが「温故知新」の意味とされることが多い。広辞苑にも「昔の物事を研究し吟味して、そこから新しい知識や見解を得ること」とある。
「知新」を「新しい知識」とするか、「時代に合うものを見つける」という意味に解するかでずいぶん違ってくる。たしかに古典に精通した漢文の教師にも、最新のコンピューターや国際情勢の知識が必要であろう。岩波文庫の金谷治の訳にも「古いことに習熟して新しいことにもわきまえれば、教師となれるだろう」とある。古事記、万葉集、源氏物語、枕草子、百人一首など古典の研究も図書館が整備されたことで、新研究が盛んである。
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