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2019年10月 5日 (土)

読んでからみるか見てから読むか

Gtbr0744  若い女性銀行員が「最近、人間失格を読みました。少し難しかったです」と話す。どうも映画をみて原作を読む気になったらしい。今さら太宰治の文学談義も気恥ずかしい気がするが、なぜか話が盛り上がった。私は志賀直哉との軋轢を話したら、彼女は「その話は映画にもありましたよ」という。蜷川実花監督の太宰治「人間失格」が公開中である。太宰治の小説を原作としてものではなく、太宰と3人の女性との愛憎を基にしたフィクションである。女性客を狙った映画だが、ネット上でも評価をみるかぎり低い。太宰作品の映画化は過去数本あるが、いずれも成功したとは言い難い。根岸吉太郎監督「ヴィヨンの妻」を期待せずに見たが、太宰作品のエッセンス(ヴィヨンの妻をベースに、思い出、桜桃、姥捨、灯篭、きりぎりす、二十世紀旗手など)をうまく取り込んだ脚本で良かった。根岸は80年代に頭角を現した「ジャパニーズ・ニューウエイブ」の1人。「遠雷」「キャバレー日記」「探偵物語」など話題作が続いたが、90年代に入り寡作でどうなったかと思ったが本作で名監督であることが実証された。NMB48の歌に「太宰治を読んだか?」がある。青年が生きる意味を小説から探すという内容の歌である。太宰を他の人に置き換えてもしっくりこない。「君はカントを読んだか?」「カフカを読んだか?」「村上春樹を読んだか?」やっぱり太宰治しかない。太宰が世を去って70年以上経つにもかかわらず、太宰の作品群は現代の若者層に人気がある。中高生の読書感想文に「人間失格」が圧倒的に多い。文庫本で130頁足らずで小説入門者に読みやすさもある。本書は昭和初期に青春を過ごした人物の回想記である。もちろん虚構も交えているがほぼ太宰の半生と重なる。東北の名家に生れ、都会での放蕩生活、心中事件など生々しい。過去の太宰映画としては、「四つの結婚」(「佳日」1944)、「看護婦の日記」(「パンドラの匣」1947)、「グッドバイ」(1949)、「真白き富士の嶺」(「葉桜と魔笛」1963)、「奇巌城の冒険」(「走れメロス」1966)、「パンドラの匣」、「人間失格」、「斜陽」、「ヴィヨンの妻」。最近のベストセラー小説は浅田次郎「大名倒産」、大門剛明「死刑判決」、月村了衛「欺す衆生」。戦後最大の詐欺事件とされる横田商事事件を題材とする。その残党たちが再興し、ついには国家を欺く大事業へと発展していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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コメント

太宰治の文学は、やや軽いけれど、何とも今も( ̄ー+ ̄)魅力ありますね。

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