アイルランド物語
28日ラグビーワールドカップ、日本は強豪アイルランドに勝利した。ところでユーラシア大陸の西のはずれにある北海道より少し大きいくらいの島国アイルランドのことを日本人はどれくらい知っているだろうか。15世紀、イギリスはフランスとの百年戦争、国内ではばら戦争がありアイルランド政策に専念できなかった。1541年ヘンリー8世が即位したとき、ばら戦争は終わり、百年戦争にも一応の決着がついていた。ヘンリー8世はアイルランドの攻略を開始する。ローマ法王から離脱し英国国教会の長になったヘンリ8世は、アイルランドのカトリックの修道院や教会を破壊するか英国国教会に移行させた。さらに各地のアイルランド人の族長を屈服させ、王に反旗を翻すアングロ・ノルマンの貴族を抹殺した。ヘンリ8世の政策はその後のテューダー王朝の王たちに引き継がれた。1649年、清教徒革命によって権力を握ったオリバー・クロムウェルはカトリック勢力を抑えることを名目としてアイルランドを侵略した。クロムウェル軍の侵攻により、1652年までにアイルランドは実質的なイギリス植民地となった。こうしてアイルランドの土地はイギリス人地主の所有地となり、アイルランドは小作人の立場におかれアイルランド問題が生まれるきっかけとなった。その後クロムウェルの四男ヘンリーが1654年アイルランド派遣軍の部将となり、55年以降事実上のアイルランド統治者となるが、1660年の王政復古によってその支配は終わる。17世紀後半の王政復古期にはスコットランドの長老派信者が弾圧を逃れてアイルランドに移住して、北アイルランド(アルスター地方)ではプロテスタントの住民の方が多数となり、信仰の違いからたびたびカトリック信者と衝突するようになった。1845年に始まったジャガイモ飢饉。その後何年も続き、1844年に約840万人だった人口が、1851年には660万人に減少した。その飢饉の間に他国に渡ったアイルランド移民は、推計200万人に上る。
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