目に青葉山ほととぎす初鰹
横溝正史の「獄門島」に「ホトトギスが夏の季語は常識」と磯川警部が言う件がある。五月ごろ、南方から渡ってきて日本に夏を告げる鳥である。季語とは、季節を表すためによみこむ言葉である。例えば、雪は冬、月は秋、鶯は春、ホトトギスや金魚は夏をあらわす。俳句は17音という短い詩形のため、季節感を説明する語句を用いる余裕がない。そこで、短い言葉で季節感をよみこむ方法として季語の約束ができた。このような事情から季語は俳句の鑑賞には四季を決定する重要な問題である。服部嵐雪の有名な句、「ふとん着て寝たる姿や東山」季語は「ふとん」、冬の句である。
では季題とは何か。季題も季語も同義として使われることが多い。もともと季語という言葉を使い始めたのは大須賀乙字(1881-1920)で、乙字は季語と季題の語義を区別して使用したが、今はその説はおこなわれず、季題は古くからいいならわしてきた語、季語は新しい使い方という風に了解されている。いまのホトトギスの歳時記では「季題」を使用している。
俳句には季語のないものや一句に季語を二つ以上用いた季重ねの句もある。日野草城(1901-1956)は昭和10年に無季俳句を提唱したため、ホトトギス同人を除名された。
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