「フランダースの犬」は世界の名作ではなく日本人だけの人気だった
犬と少年の美しい愛情をえがいた不朽の名作「フランダースの犬」。作者ウィーダはイギリスの女流作家で、「むく犬ミューロー」など40編あまりの作品があるが、いまも読まれているのはこの作品だけである。物語に登場するする犬は「ブーヴェ・デ・フランダース」という種類の犬で、フランダース地方の牛・馬の番犬や労働犬として飼われ、黒い色をしている。このためアニメでは、パトラッシュはイメージに合うように茶色でネロの親友としてえがかれている。
ところで「フランダースの犬」は日本では有名だが、舞台となったベルギーではほとんど知られていない。日本人観光客があの大聖堂をひと目見たいというファンが急増したるととろが地元アントワープではこの物語はほとんど知られていなかった。それにしても、この有名な物語が、現在ヨーロッパでもほとんど読まれていないというのは不思議な話である。作家がイギリス人ということも理由の1つだが、ネロ少年の年齢にも一因がある。原作では15歳(アニメでは10歳に改変)で、当時のヨーロッパでは十分に働ける年齢とみなされ、もっと生きるための努力をするべきだという指摘がある。つまり19世紀末のヨーロッパの倫理に「フランダースの犬」は適わなかったのである。(Bouvier des Flanders)
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名作かどうかというよりも、日本で有名になりすぎたということだと思うのですが・・・
投稿: 根保孝栄・石塚邦男 | 2013年3月25日 (月) 11時49分