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2019年1月 6日 (日)

ヒーローとピーポー

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   兵庫県立美術館で12日から「Oh!マツリ☆コト昭和・平成のヒーロー&ピーポー」展が始まる。これまで美術の領域ではおさまらない紙芝居、漫画やアニメ、特撮などを取り上げるらしい。行けないがサブカルには興味ある。「♪タケダ、タケダ、タケダ…」というコマーシャル・ソングで始まる「月光仮面」第2部「パラダイ王国の秘宝」は日曜日夜7時からの30分番組であった。ケペルは「月光仮面」世代であるが、まだ家庭にテレビはなく、銭湯で見た記憶がある。

    乏しい制作費のためセットなしのオールロケ。今からみるとチープなドラマづくりであるが、なぜ当時の子供たちをあれほど惹きつけたのか謎であった。映画評論家・樋口尚文の新著「月光仮面を創った男たち」は緻密な検証の上に、その謎への独自の解明が試みられている。いわば「三丁目の空き地」説とでもいうべきもので、以下、梗概を記す。

    「月光仮面」の人気を決定づけた第1部(全71話)のほとんどは、夕方6時から10分間の帯番組として週6回放送されていた。すなわち、こどもたちが学校を終えて空き地で大暴れをして帰宅するや、そのタイミングでテレビでわずか10分の安づくりなヒーロー物が始まるのである。単純なストーリーは、空き地での決戦の一日のしめくくりとして、このうえなく画期的で愉しいものだったのではないか、と推論している。それと「月光仮面」の颯爽たるバイク姿が、その時代の勢いを背負った夢のプロダクトでもあった、としている。

    誰もがみんな知っている「月光仮面」だが、実は誰もがみんな知らずにいる、昭和の奇跡があった。大瀬康一のインタビュー、川内康範(作家)、船床定男(監督)、小林利雄(制作、宣弘社)など緻密な調査がされていてノンフィクション、ルポルタージュとしても優れている。

    なぜ「月光仮面」世代の当人たちがあまり「月光仮面」についての綿密な調査に無関心だったのだろうか。それは人生のうちでおそらく最も楽しかったであろう日々の思い出は、だだぼんやりとした記憶にとどめておきたいからであろう。「月光仮面がなぜ人気があったか」などという詮索は「ウルトラマン」世代にお願いするほうが客観性があっていいだろう。

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