日本映画脇役列伝
昨年、大杉漣さんが急性心不全で死去された。「ソナチネ」以降、旺盛な活躍で脇役が脚光を浴びる時代の先鞭をつけたと思われる。現在活躍中の平成のバイプレーヤーで思い浮かぶのは、平泉成、塩見三省、笹野高史、伊武雅刀、平田満、角野卓造、岸部一徳、國村隼、小日向文世、寺田農、光石研、温水洋一、遠藤憲一、滝藤賢一、田口トウロヲ、正名僕蔵など。ここでは昭和映画黄金期の名脇役について記す。高瀬実乗(1897-1947)はサイレント時代から活躍していたが、トーキー以降の「わしゃかなわんよ」、「アーノネおっさん」等のギャグで人気があった。
新国劇出身の上田吉二郎(1904-1972)は肥った身体でダミ声をだす時代劇の敵役、悪役を得意とした。「羅生門」「七人の侍」「どん底」はじめとする黒沢作品の常連で名作の出演も多い。
伊藤雄之助(1919-1980)は長身で長い顔の怪異な容貌で「巨人と玩具」「椿三十郎」などアクの強い演技で多数の映画で活躍した。
新国劇出身の石山健二郎(1903-1976)は禿頭の頑固親父のイメージで「天国と地獄」「白い巨塔」など忘れ得ぬバイプレイヤーであった。
新劇出身の加藤嘉(1913-1988)は、ふけ役専門で「米」「神々の深き欲望」「砂の器」など性格俳優として重用された。「白い巨塔」の大河内教授役はハマリ役で、映画・ドラマの両方で演じている。4度結婚したが、3番目の妻は山田五十鈴(1950年~53年)。
榎木兵衛(1928-2012)は「俺は待ってるぜ」など日活映画のチンピラ役の出演が多い。
その他、印象に残る俳優さんたち。
脇役と一口に言っても、個性的で印象に残る脇役と、地味で平凡な役を得意とする脇役がいる。佐田豊は東宝の特撮映画や黒澤明作品の常連であるが、ほとんど印象が無く、存在感のうすいタイプの典型。「ゴジラ」の対策本部員、「透明人間」の南条の仕事仲間、「大学の若大将」の板前、「乱れる」の商店主。「天国と地獄」の運転手だけはよく覚えている代表作は「私は貝になりたい」。現在104歳とご健在である。
綾瀬はるか主演のドラマ「きょう会社休みます」。父親の役者が見覚えない顔である。浅野和之という。多数の作品に出演している俳優である。むかしドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」で亜紀が入院していた医師で綾瀬と共演しているが、記憶にない。
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本田博太郎という俳優も、重要な脇役、悪役、とても上手いと思います。
投稿: | 2014年10月16日 (木) 07時25分
男性ばかりの脇役が挙げられていますが、先日、ご主人の大山勝美さんを亡くされた渡辺美佐子さん、上手いなぁと思います。
投稿: | 2014年10月17日 (金) 13時56分
中条静夫さんは、「あぶない刑事」の課長役がとても印象に残っています。
投稿: | 2015年9月 5日 (土) 08時04分