チャングムとサイムダン
イ・ヨンエは透明感のある洗練された美しさで韓国映画界を代表する国民的女優といえる。その正統派としての存在は日本の吉永小百合に比されることがある。だが清純ではあるがどこか不可解で近寄りがたい存在であり、かつてはそれが演技の幅を狭めていた。ドラマ「パパ」や「ドクターズ」の女医ミンジュなどは都会派の知的なキャリア志向の女性で、身勝手で現実味がなく、大衆の共感できないものがあった。あの大ヒットした「JSA」でさえ、彼女に求められたのはクールな美しさであった。本当の意味で女優として開眼したのは「春の日は過ぎゆく」「ラスト・プレゼント」あたりからであろう。「宮廷女官チャングムの誓い」でアジア諸国でも最も愛される女優となったが、その後、結婚・出産し、長い沈黙が続いた。2016年ドラマに復帰、「師任堂 色の日記」ではとても46歳とは思えない美貌で大女優の貫禄すらみせている。ところでチャングムとサイムダンは共に16世紀前半の中宗(在位1506-1544)時代の実在の人物だそうである。ただしチャングムは「朝鮮王朝実録」の中宗実録の項で「長今」と「大長今」という単語が13ヵ所あるだけで、ドラマは物語を膨らませて創作しているようだ。
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