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2018年11月 2日 (金)

マーティン・マルプレレット論争

 1588年から翌年にわたって、英国国教会を激しく非難した一連のパンフレットが、マーティン・マルプレレットというペンネームを使い、秘密の出版社から出された。これに対して、リリー、ナッシュ、ハーヴィー兄弟ら、当時の著名な作家たちが時を移さずにやりかえしたが、筆鋒鋭く切り込み、力強くてよどみのない文章をつづった匿名の作家にたちうちできる者は誰もいなかったという。この論戦の発端は、カンタベリー大主教ジョン・ヴィットギフトの非国教会牧師に対する不公平な取り扱いに起因している。彼は、国王至上法、統一法、39ヵ条などの法令に物言わせて、英国国教会の教養を押しつけようとした。最後まで自分の名前を隠して、文筆の威力を見せつけた玄人はだしの人物は、どうやら長老教会派のジョブ・スロックモートンであろう。しかし、当局側から嫌疑をかけられた者の中に、ジョン・ベリーとジョン・ユードルが含まれており、言わば見せしめのための懲罰で、前者は処刑され、後者は獄死した。(三ッ星堅三「イギリス文学史概説」) Martin Marprelate

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