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2018年11月27日 (火)

史記・司馬遷関係文献目録

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  前漢武帝の治世の元朔3年(前126)、司馬遷20歳のとき、天下漫遊の旅に出た。河南、安徽、江蘇、浙江、江西、湖南、湖北、山東の各省にわたる大旅行で、前後二、三年はついやしたようである。司馬遷は淮陰に立ち寄った。この地は、漢王朝の成立後、劉邦にあっけなく滅ぼされたが、劉邦、項羽の漢楚興亡のただ中にあっては斉王となり、漢室の一敵国となした名将・韓信の故郷である。司馬遷はこの地の父老たちから韓信の人柄を示す故事を聞くことができた。韓信は若い頃、屠殺屋仲間の若者にばかにされて、その股をくぐらされた「韓信の股くぐり」の話は有名であるが、のちに韓信は、その若者を召し出し、「わしの今日があるのはおまえのおかげだ」といって厚く報いたという。司馬遷は、どのように、こうしたエピソードを集めたのであろうか。じつは「史記淮陰候列伝」の論賛に、司馬遷が収集の経緯の一端を語っている。

    わたしが淮陰に行ったとき、淮陰の人々はわたしにこういった。「韓信は平民であったときでも、その気がまえは普通のものとはちがっていました。彼の母が死にましたとき、貧乏で葬式もできなかったのです。ところが、彼は高爽な、ひらけた場所に墓をつくり、将来その周囲に何万軒もの墓守りをおけるようにしたのです。」と。わたしは彼の母の墓を見にいったが、まことにその通りであった。もし韓信が道理を学び、謙虚な態度をとって自分の功績を自慢せず、その才能を鼻にかけなかったならば、漢室に対して、その勲功はかの周公、召公や太公望などにも比せられて、後世ながく国家の元勲として廟に祭られることにもなったろうものを。ところが彼はそうなろうとつとめずに、天下が統合されたあとで、なお反逆をたくらんだ。一族全滅にみまわれたのも当然ではなかろうか。

    ここには司馬遷の韓信の人柄に対する愛情と、それ故にこそあえて加える批判の筆とがよくあらわれている。(参考:大島利一「司馬遷」清水書院)

史記 影印本「二十五史」所収 2冊 台北・芸文印書館
史記考要 柯維騏 明
史記啓弁 詳論註解 堤大介編 松林堂 1879
啓蒙史記列伝 太田秀敬 青梅堂 1881
史記列伝講義 太田才次郎 開新堂 1893
史記国字解 8冊 桂五十郎 早稲田大学出版部 1919~1920
史記読本 田中慶太郎校訂 文求堂 1930
史記会注考証 10冊 瀧川亀太郎 東方文化学院研究所 1932-34
司馬遷の見たる古代支那の人文地理に就いて 藤田元春 地球16-2、3  1931
史記の孔子伝大要 岡崎文夫 史林17-3  1932
司馬遷と班固 岡崎文夫 史林17-3  1932
史記新講 新撰漢文叢書 梁田忠山 三省堂 1933
史記列伝 上下(国訳漢文大成・経史子部) 国民文庫刊行会 1934
史記・書・世家 国訳漢文大成・経子史部14  国民文庫刊行会 1935
新撰史記鈔詳解 沢田総清・滝沢良芳編 健文社 1936
史記著作考 支那学翻訳叢書5 シャヴァンヌ著 岩村忍訳 文求堂書店 1939
史記編述年代考 山下寅次 六盟館 1940
史記及注釈綜合引得 北平・哈仏燕京学社 1947
史記物語 世界名作全集 増田渉 講談社 1956
史記会注考証校補 全15冊 水沢利忠著 史記会注考証校補刊行会 1955~1960
現代語訳史記4列伝篇 小竹文夫・小竹武夫訳 弘文堂 1957
史記 楚漢篇 新訂中国古典選11  田中謙二・一海知義 朝日新聞社 1967
史記 漢武篇 新訂中国古典選12  田中謙二・一海知義 朝日新聞社 1967
史記研究資料索引和論文専著提要 楊燕起・兪樟華編 蘭州大学出版社 1989
史記研究的資料和論文索引 中国科学院歴史研究所 科学出版社 1957
史記 上 中国古典文学全集 野口定男、頼惟勤、近藤光男、吉田光邦訳注 平凡社 1958
史記 中・下 中国古典文学全集 野口定男ほか 平凡社 1959
史記故事精選連環画 全4冊 冀汝枢等編絵 二世一世 1990
史記三家注引書索引 段書安 中華書局 1982
史記参考書目 二十五史史記後附録 開明書店 1935
史記書録 賀次君 商務印書館 1958
史記 楚漢篇 中国古典選 田中謙二・一海知義 朝日新聞社 1958
史記 世界文学大系 小竹文夫・小竹武夫 筑摩書房 1962
史記 中公新書 貝塚茂樹 中央公論社 1963
史記 中 中国古典文学大系11  野口定男訳 平凡社 1969
史記人名索引 呉樹平 中華書局 1982
史記人名索引 鐘華 中華書局 1977
史記 司馬遷の世界 講談社現代新書 加地伸行 講談社 1978
史記新論 白寿彜 北京・新華書店 1981
史記菁華録 楊姚荢田輯 王興康等標点 上海古籍出版社 1988
史記地名考 銭穆 
史記桃源抄の研究 全5巻 亀井孝・水沢利忠 日本学術振興会 1965~1969
史記桃源抄の研究 本文篇3 日本学術振興会 1970
史記・十八史略演習 吹野安編 笠間書院 1970
史記・十八史略新釈 吹野安編 笠間書院 1970
史記 1 筑摩世界文学大系6 小竹文夫・小竹武夫訳 筑摩書房 1971
史記 2 筑摩世界文学大系7 小竹文夫・小竹武夫訳 筑摩書房 1972
史記百三十篇篇目的研究 劉偉民 香港聯合書院学報第10期 1972
史記・十八史略 明解古典学習シリーズ 三省堂 1973
史記列伝 下 漢文大系7 重野安繹 冨山房 1973
史記列伝 全5冊 岩波文庫 小川環樹・今鷹真・福島吉彦訳 岩波書店 1975
史記研究之資料与論文索引 王民信編 台湾学海出版会 1976
史記選 項羽本紀 漢文講読課本6 朋友書店 1979
史記を語る 岩波新書 宮崎市定 岩波書店 1979
史記世家 上岩波文庫 小川環樹・今鷹真・福島吉彦訳 岩波書店 1980
史記を読む 研文叢書7 野口定男 研文出版 1980
史記世家 中岩波文庫 岩波書店 1982
史記列伝 世界古典文学全集20  小川環樹他訳 筑摩書房 1982
史記水滸伝唐代伝奇 朝日文庫 陳舜臣 朝日新聞社 1983
「史記」を中国語で読む 相浦杲 PHP研究所 1985
史記選注賄匯評 韓兆琦編注 中州古籍 1990
史記世家 下岩波文庫 岩波書店 1991
史記雕題 上 懐徳堂文庫復刻刊行会監 吉川弘文館 1991
史記探源 二十四史研究資料叢刊 崔適 北京・中華書局 1986
史記点描 人間の生きざまをつづった四十二話 山崎正 公人社 1987
史記・本紀1 新釈漢文大系 吉田賢抗 明治書院 1988
史記・本紀2 新釈漢文大系 吉田賢抗 明治書院 1988
史記・世家上 新釈漢文大系 吉田賢抗  明治書院 1988
「史記」小事典 久米旺生・竹内良雄・丹羽隼兵 徳間書店 1988
史記のつまみぐい 宮脇俊三 新潮社 2004
史記 ビギナーズ・クラシックス中国の古典 福島正 角川ソフィア文庫 2010 

「史才と文章上より見たる司馬遷」 日下寛 東亜研究2-5  1912
「司馬遷の性行と史記の文章」 児島献吉郎 東亜研究2-5  1912
「史記と外交」 武藤長年 東亜研究2-5  1912
「司馬遷年表並に其孝道」 中山久四郎 東亜研究2-5  1912
「司馬遷の経学」 狩野直喜 哲学研究3-7  1918
「司馬遷の自由放任説」 小島祐馬 政治経済学論叢1-1   1919
「公羊家の観たる史記」 小島祐馬 支那学1-1  1921
「司馬遷の歴史観に就いて」 本田成之 支那学2-8,9  1922
「史記ノ漢高本紀ニ就テ」 稲葉岩吉 東亜経済研究8-2  1924
「司馬遷の生年に関する一新説」 桑原隲蔵 史学研究(東京)1-1  1929
「史記貨殖列伝論稿」 穂積文雄 東亜同文書院論文集 1930
「司馬遷の人文地理学」 藤田元春 立命館大学1-12  1934
「史記と春秋学」 岡崎文夫 文化1-9  1934
司馬遷 東洋思想叢書 武田泰淳 日本評論社 1943
司馬遷 教養文庫 岡崎文夫 弘文堂書店 1947
司馬遷之人格与風格 李長之 上海開明書店 1948
司馬遷 史記の世界 創元文庫 武田泰淳 創元社 1952
司馬遷著作及其研究資料書目 上海市歴史文献図書館 1955
司馬遷 李鎮淮  上海人民出版社 1955
司馬遷年譜 鄭鶴声編 商務印書館 1956
司馬遷 岡崎文夫 弘文堂 1958
司馬遷 史記の世界 武田泰淳 文芸春秋社 1959
司馬遷 記録者の意義と生涯 小倉芳彦(世界の歴史3) 筑摩書房 1960
司馬遷所見考 金徳建 上海人民出版社 1963
司馬遷 筑摩叢書 バートン・ワトソン著 今鷹真訳 筑摩書房 1965
司馬遷 史記の世界 武田泰淳 講談社 1965
司馬遷 史記列伝 世界の名著11  貝塚茂樹編 中央公論社 1968
司馬遷 史記の成立 人と歴史シリーズ 大島利一 清水書院 1972
司馬遷 史記の世界 講談社文庫 武田泰淳 講談社 1972
史記3 支配の力学 丸山松幸・和田武司訳 徳間書店 1972
史記 中国古典シリーズ1 陳舜臣 朝日新聞社 1974
史記補注 池田四郎次郎 明徳出版社 1975
世界をとらえた生涯 司馬遷 市川宏 人物中国志3 1975
史記 中国古典選 田中謙二・一海知義 朝日新聞社 1978
司馬遷 中公バックス世界の名著11  貝塚茂樹編 中央公論社 1978
司馬遷 諷刺と称揚の精神 李長之著 和田武司訳 徳間書店 1980
司馬遷 起死回生を期す 中国の人と思想6 林田慎之助 集英社 1984
司馬遷評伝 肖黎著 吉林文史出版社 1986
史記世家 上中下 新釈漢文大系 吉田賢抗 明治書院 1986
史記 司馬遷 徳間書店 1987
司馬遷的創作意識與写作技巧 范文芳 文史哲出版社 1987
司馬遷和史記 劉乃和主編 北京出版社 1987
司馬遷與其史学 周虎林 文史哲出版社 1987
史記 中国古典百言百話 西野広祥 PHP研究所 1988
司馬遷 徳間文庫 李長之著 和田武司訳 徳間書店 1988
史記 呉越燃ゆ 久松文雄 講談社 1989
史記 世界の名作全集 渡辺武訳 国土社 1990

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