砧打ち
むかし着物は洗濯するとこわばるので、木の台に打って柔げた。これを砧打ちという。砧はもともと中国から伝わったもので中国では擣衣といい、古くから詩にうたわれている。「長安一片の月、万戸衣を擣(う)つの声」(李白)とある。ことに朝鮮では夏、洗濯した衣類にのりをつけてつや出しをするのに現在でも行われている。日本では、婦人が砧を打ったもので、秋の夜、その音が遠く近くひびくので、砧の音が夜寒を誘うというものが多い。「砧」は俳句でも秋の季語で、砧の音は淋しさ、哀しさ、貧しさを感じさせる。
世に住まば聞けと師走の砧哉(西鶴)
砧打て我にきかせよや坊が妻(芭蕉)
憂き我に砧うて今は又止みね(蕪村)
寒雁のほろりとなくや藁砧(原石鼎)
« 謎の隠者ピエール | トップページ | ペンネーム・芸名にまつわる奇話あれこれ »
「日本文学」カテゴリの記事
- 畑正憲と大江健三郎(2023.04.07)
- 青々忌(2024.01.09)
- 地味にスゴイ、室生犀星(2022.12.29)
- 旅途(2023.02.02)
- 太宰治の名言(2022.09.05)
はじめてコメントさせていただきます。
能でも「砧」という曲があり、由来を調べておりましてこちらに。。。
絵などを含め勉強になりました。
ケぺル先生のブログはとても深い内容のブログですね。
これからも楽しみにうかがいます。宜しくお願いいたします。
投稿: 霜村春菜 | 2009年11月25日 (水) 11時21分
おたより、ありがとうございます。隠居の身、富や地位や名声から離れて、自由気ままに書いています。
投稿: ケペル | 2009年11月25日 (水) 15時05分