どんな本を読もうかな?
今年も読書週間がやってきます。今年の標語は「ホッと一息、本と一息」近くの図書館でホッと一息つける本をみつけよう。本は6冊まで2週間借りれる。「やさしいロシア語」「女たちの精神史」「図書館情報資源概論」「本は10冊同時に読め」「イギリス文学史概論」を借りる。「本は10冊同時に読め」は超並列読書術である。著者の成毛眞は元マイクロソフト社長。本は捨てない、借りない、貸さない主義だそうだ。自宅にある本は大体1万5000冊ぐらいで、別荘にはその倍の本が置いてある。要するに教養のためにはお金を惜しむな、というお金持ちの読書術なので、万人を考慮していない。はっきり年収200万円以下を庶民と規定し、切り捨てている。「すべての人に本を」という私の考えとは異なる。また読書は量より質が問題で、多読より精読が大切だ。西田幾太郎の「一書を読了せざれば他書をとらず」はその姿勢を尊びたい。実業家の読書は即効性を重視するため実用書を尊重し、小説や詩は無益なものとして完全否定するらしい。本書には「私の趣味は読書でも、小説はほとんど読まない人間である」「漱石の吾輩は猫であるを読んだところで、何をどう感じるというのだろう」「私にとって志賀直哉の本は焚書である」と文学完全否定論が明白である。しかし「小説を読むより田を作れ」は間違いだろう。近代日本の出版物をながめてみると、多くの日本人の心の糧とした作品は文学書が多い。やはり読書人としては文学書を基本に据えて、本を読むことを食べることと同じように日常生活の一部とするべきだと考えている。
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