坂田山心中
昭和32年12月4日、伊豆の天城山で、大久保武道と愛新覚羅慧生がピストル自殺を図った。天城山心中として世間の耳目を集め、三ツ矢歌子で映画化された。題名は「天城心中 天国に結ぶ恋」。もともと「天国に結ぶ恋」は昭和7年の坂田山心中を映画化したときの題名だったが、観客動員には効果的だった。
昭和7年5月9日、神奈川県大磯の海に近い坂田山というところで、若い男女の心中死体が発見された。遺書その他から2人はキリスト教の教会で知り合ったことから、この心中事件を「東京日日新聞」は「天国に結ぶ恋」と称して報道した。坂田山心中というよりは、そのほうがロマンチックだった。「今宵名残の三日月も 消えて淋しき相模灘」という歌も流行し、続いてそれを主題歌とした映画「天国に結ぶ恋」は竹内良一、川崎弘子の美男美女のコンビで大ヒットとなった。そして、この映画にあやかろうとする自殺志願者が、しきりに大磯の坂田山へきた。昭和7年5月中旬以降、約3年間に、坂田山で心中しようとした男女は合計600人にものぼったという。
日本の支配層は不況と社会不安の打開を中国侵略に求めた。中国との戦争による軍需景気が昭和8年の初夏ごろから起こる。そして軍需景気が失業者をなくしていったが、その次には、戦争による死の恐怖が日本人に襲いかかっていく。
ところで地図には坂田山という名の山はみえない。大磯駅周辺は坂になった場所の田、坂田と呼んでいたが、記者が坂田山がゴロがいいので使って有名になったらしい。
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心中が流行りになるとは…
投稿: | 2014年5月 8日 (木) 22時03分