恋愛映画にみられる「すれ違い」考
古今東西のラブストーリーを見ても、愛する2人が運命に弄ばれて「すれ違い」の末にひきさかれるという展開が王道である。恋愛小説で世界で最も成功したと思われる作品の1つにデュマ・フィスの「椿姫」がある。難病、身分違い、生活苦などの要素があるがマルグリット・ゴーチェとアルマンとの「すれ違い」が見ものである。20世紀の映画の時代に入っても「すれ違い」は恋愛映画の重要なファクターとなっている。ロバート・シャーウッド作「哀愁」は青年将校と踊子との「すれ違い」劇である。日本映画をみても「愛染かつら」「君の名は」、山口百恵の赤いシリーズから近年の「恋空」「ハナミズキ」に至るまで「すれ違い」が見られる。韓国は恋愛映画の宝庫。「猟奇的な彼女」「私の頭の中の消しゴム」「ただ君だけ」(2011年)など。
生田斗真、吉高由里子の「僕等がいた」も遠距離恋愛で6年間音信不通の男女の切ないラブストーリーである。そのため映画では2人がまみえるシーンが少ない。
矢野元晴(生田)が元恋人の山本奈々(小松彩夏)を交通事故で死なせたということ、母を自殺に追いやったということ、など過去の出来事が心の闇となって苦しんでいる。高橋七美(吉高)の家庭環境は映画では描かれていないが、普通の家庭に育ったとみてよい。明るく、前向きな女の子で、高校時代は学級委員として学園祭にもがんばっていた。その後、東京のS女子大を卒業して現在は出版社に勤務しながら、同窓の竹内匡史(高岡蒼佑)と付き合っている。だが心の中では初恋の人、矢野を慕い続けている。ストーリー、全体のプロットは「冬のソナタ」に似ている。初恋が永遠であること、三角関係、舞台は雪国の田舎町。「僕等がいた」では釧路、札幌。冬ソナは春川。日活映画「北国の街」(倉本聡)など含めて冬ソナ型の恋愛映画である。吉高は来年のNHK朝ドラヒロインになる。「僕等がいた」はなんと他に3人の朝ドラヒロインが出演している。本仮屋ユイカ、須藤理彩、比嘉愛未。
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