広辞苑に収録されない見出し項目
広辞苑は1955年刊行以来、わが国の代表的な国語辞典としての地位を確立している。来年1月には待望の第7版が刊行される。その大きな特長として、国語辞典としての日本語の語彙だけではなく、人名・地名などの固有名詞や百科的事項もあり、しかも古語、新語、外来語も豊富である。このような本は諸外国をさがしても珍しい。収録対象が際限ないからである。最新の第6版では植木等や杉原千畝なども追加されている。金子みすず、広岡浅子などは最近知られるようになった人名は仕方ないとして、源氏鶏太、山手樹一郎、高木彬光といった著名作家が収録されていない。これら人名に関しては際限ないことであろう。ただし、気になる点もある。恐竜などの地球上から絶滅した動物も始祖鳥、ティラノサウルス、トリケラトプスは収録されている。スピノサウルス、リオプレウロドン(画像)はない。収録の基準がわからない。単なる知名度であろうか。すべての分野の事項を取り扱うだけに、収録の基準の明確性に欠けるのが惜しい。
際限のない膨大な数のことを「星の数ほど」と表現する。シリウス、カノープス、アルデバランなど一等星は採録されている。太陽系に属する銀河系は、2000億個の星があるといわれている。また地球上には、1000万種とも1億種ともいわれる生物が生きている。昆虫は種類が非常に多く、約75万種ある。脊椎動物には、魚類が約1万9000種、鳥類が約9000種、爬虫類が約6000種、両生類が約400種、哺乳類が約5400種いるといわれている。比較的少ないと思われる鉱物でも数千種ある。これらの名前をすべて集めるというのは際限ない話である。
本のタイトル。世界中に存在する全ての本の数は1億2986万4880冊とグーグルは推定している。広辞苑にも「金色夜叉」「雪国」「暗夜行路」「夜明け前」「細雪」と代表的な書名のタイトルが項目として扱われている。つのだじろう作「すみれ雲のうた」は雑誌「りぼん」の付録(1964年)でもちろん広辞苑に収録されていないが、本のタイトルも際限ない事の1つである。
専門用語も際限ない事の1つ。たとえば「リーゼガング現象」「アミタール面接」という項目は広辞苑には見当たらない。アミタール面接とは、麻酔薬や睡眠薬(アミタールなど)を用いて半覚醒の状態をつくり、不安や緊張をやわらげることによっておこなう面接法。
地名も際限ない事の1つ。市町村名すべては項目に取り扱われていると思っていたが、和歌山県すさみ町を引いてもなかった。市はあるが町村はとりあげられていないらしい。東京都檜原村も収録されていない。日本のおもな山や川を引いても載っていないことが多い。近くの甲山や武庫川もなかった。日本有数の清流として、鮎釣りで知られる高津川(島根県)もない。一級河川だけでも1万4048あるのだから仕方ない。おもな駅名もない。新大阪はない。際限のない事の1つである。
歌のタイトルも際限ない事の1つである。広辞苑には「荒城の月」はあるが、「ふるさと」(高野辰之作詞、岡野貞一作曲)は収録されていない。第一興商DBMによるとカラオケで10万曲くらいの歌曲があります。でも歌のない器楽のための楽曲や世界の民謡やクラシックなど、インストゥルメンタルで多くの人が耳にする曲も多くあります。ほんとうに世界中で楽曲は何曲あるのかわかりません。ちなみに最新のヒット曲はGLAY「あなといきてゆく」。
インターネットなどで使われる用語。黒歴史(クロレキシ)意味は「人には言えない過去の恥ずかしい言動」。など。
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