ワニ・サメ論争
古事記「因幡の白兎」に登場する「ワニ」を白鳥庫吉は、「あのワニはクロコダイルやアリゲーターのような鰐ではない。あれは鮫だ」と説いた。(「和邇考」)出雲や隠岐の方言では、鱶や鮫をワニと呼んでいる。これに対して、ほかの学者からは、ワニが日本に漂着する可能性があり、気候に恵まれて繁殖していた、という。またワニが並んで伏しているというのはワニによくある生態で、鮫にはできない。つまり因幡の白兎に登場するワニはクロコダイルであって鮫や鱶ではない。この説話が南方説話の証拠だという。しかし、南方熊楠は「十二支考」で巳の年で白鳥説を支持している。白鳥の弟子の津田左右吉は海蛇であるという。このワニサメ論争は現在も明らかではない。
しかし1964年に大阪府豊中で約40万年前の地層からワニの化石が発見された。全長8mもある大型のワニでクロコダイルの仲間であることがわかった。日本にもワニがいた!
ちなみにアフリカからアジアに生息するのがクロコダイル、南北アメリカに生息するのがアリゲーター。語源としては、クロコダイルはギリシア語、アリゲーターはスペイン語に由来する。
参考;「ワニ氏の研究」日本古代氏族研究叢書 加藤謙吉 (crocodile,alligator)
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