トリビア世界人物逸話集
ある人についての、世の中の人びとにあまり知られていないおもしろい話を逸話という。同義語としてよく「エピソード」の語が用いられるが、日本独自の語義である。一般的には、その人物の性格をよく表している逸話とし紹介されることが多いが、逆に、人物が意外な側面を示す話てあることもある。
マゼランは世界一周で知られているが、彼自身は途中マクタン島で殺されてしまい、スペインには帰還していない。本当に世界一周したのはエルカノら18人の乗組員だった。▽イギリスの清教徒革命の指導者クロムウェル。1658年に志半ばで病死するが、2年後王政復古になると、墓が暴かれ、遺体は絞殺された。首は鉄の棒の先に突き刺され、24年間に亘ってロンドンで晒されたが、子孫によって手厚く葬られている。胴体の方は、行方不明となった。▽ゴッホの絵で生前に売れたものは、たったの1枚「赤い葡萄畑」だけだった。アンナ・ボックというベルギーの女流画家が400フランで買った。▽東海道五十三次で知られる安藤広重。実際は東海道を旅せずに描いた。▽リンカーンは一人の少女から「あご髭をはやせば立派に見えてみんながあなたに投票しますよ」という手紙をもらった。リンカーンは悩みながらも髭をはやし次の大統領選挙で勝利を収めた。▽人類の生活を変える数々の大発明を成し遂げたトーマス・エジソンだが、実は子育てに大失敗をしていた。長男のエジソン・ジュニアは、エジソンの息子という肩書きを利用して詐欺を重ね、父に多大な迷惑をかけたといわれる。▽インドネシアでは独立の英雄の名前が空港に付けられている。バリ島の「ングラライ国際空港」、ジャカルタの「スカルノ・ハッタ国際空港」。モハマッド・ハッタは独立宣言にスカルノと共に署名し、初代副大統領になった。
有名な薪を背負って読書する二宮尊徳のエピソードは明治になってから創作されたもので、自身の逸話には無い。また生涯で2度結婚している。最初の妻キノは家風が合わないと言って出て行った。後妻の波(なみ)とは夫婦円満だったらしい。▽蒸気機関車の発明者は、一般にはジョージ・スチーブンソンと思われているが、実際はリチャード・トレビシックである。▽「ファーブル昆虫記」で有名なアンリ・ファーブルは日本でよく知られている人物である。しかしファーブルは母国フランスではあまり有名でない。▽タクワンは、一般に、沢庵和尚の発明だといわれているが、本当は平安時代からあった。沢庵和尚の墓石が、漬物の石とよく似ていた丸い石だったので、その墓を見てきた人々が、自分の家の漬物の石もタクアンと呼んだ。それが広まって、タクワンとなったのである。
世界史で逸話の多い人物といえばマリー・アントワネット。王妃の趣味のひとつが時計のコレクション。伝説の時計師アブラアン・ルイ・ブレゲの最高傑作として知られるのが「マリー・アントワネットの時計」と呼ばれる複雑時計「ブレゲ№160」だ。1783年、王妃は最新鋭の時計を注文したが、完成したのは44年後のことだった。王妃の手に届くことはなく、この時計は数々の名士の手を経て、エルサレムにあるLAメイヤー記念イスラム美術館に所蔵されている。(参考:「世界人物逸話大事典」朝倉治彦・三浦一郎 角川書店 1996年)
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久しぶりに読んでます。
いつも感嘆して・・。
お元気で・・・と言いたいのですが、
何か、健康が優れないようで、お大事に。
根保孝栄・石塚邦男
投稿: 根保孝栄・石塚邦男 | 2017年8月29日 (火) 04時40分