広辞苑によると、「一発芸」とは「1回だけの動作で、人を笑わせたり驚かせたりする芸」とある。ビートたけしが股の間を両手で大きく上下して、「コマネチ」というギャグなどをさすのであろうか。一発芸「ゲッツ!」のダンディ坂野は、自分のことを「一発屋」と称している。ところがダンディ坂野、意外にも2012年CM起用ランキング8位とランクイン。同様に、歌手の円広志や猿岩石の有吉弘行が一発屋の自虐ネタで売れている。
では、一発屋とは何か。広辞苑には解説がないが、ウィキペデイアには次のようにある。「一発屋とは、一時的な活躍をみせた芸能人などに対するやや侮蔑的な意味合いのある呼称」とある。本来は野球解説などで、代打ホームランを期待する選手に対して、「一発屋」と称されたものであるが、かなり以前からテレビなどで、「一発屋」という語が普及されるにいたっている。何が、「一発屋」であるかを特定することは人により異なるが、大ヒット曲を出して、その後ヒットが続かず、歌番組では常に同じヒット曲しか歌わしてもらえない歌手のことを一発屋といってさしつかえないだろう。「一発屋」の言葉の古い使用例としては、嘉門達夫の唄に「一発屋ブルース」(1984年)がある。曲としては、円広志「夢想花」、城みちる「いるかに乗った少年」、城卓也「骨まで愛して」が典型例だろう。芸能界には「円」「城」などの1文字の姓は一発屋になるジンクスがある。幼いころの祖母との想い出を歌に込めた「トイレの神様」が大ヒットした植村花菜。当時幅広い世代の人から愛される曲となった。しかしこの曲の印象が強すぎたせいか、それ以降の彼女の活動をあまり知らない。アマゾンの一発屋ランキング調査によると、植村花菜は一発屋だと思う芸能人、堂々の第一位に輝いている。もちろん彼女はまだ若いので、新曲が大ヒットして再ブレイクする可能性は十分にある。
近年、一発があることはまだましな話で、不発屋からみれば羨ましいという声もある。一作でも大ヒットを残したという事実を前向きに評価する傾向にあるようだ、ゲッツ!。そこで、予断と偏見をもって一発屋芸人を総まくりしてみよう。
一節太郎「浪曲子守唄」、安達明「女学生」、マイク眞木「バラが咲いた」、二代目コロンビア・ローズ「智恵子抄」、青山京子「愛と死をみつめて」、笹みどり「下町育ち」、千葉紘子「折鶴」、新谷のり子「フランシーヌの場合」、バンバン「いちご白書をもう一度」、ダ・カーポ「結婚するって本当ですか」、子門真人「およげ、たいやきくん」、千賀かほる「真夜中のギター」、月亭可朝「嘆きのボイン」、湯原昌幸「雨のバラード」、平浩二「バス・ストップ」、ガロ「学生街の喫茶店」、渥美二郎「夢追酒」、さとう宗幸「青葉城恋歌」、青い三角定規「太陽がくれた季節」、松崎しげる「愛のメモリー」、堀江淳「メモリーグラス」、五十嵐浩晃「ペガサスの朝」、伊藤敏博「サヨナラ模様」、雅夢「愛はかげろう」、中村あゆみ「翼の折れたエンジェル」、岸田智史「きみの朝」、久保田早紀「異邦人」、小林明子「恋におちて」、沢田知可子「会いたい」、石井明美「CHA-CHA-CHA」、アラジン「完全無欠のロックン・ローラー」、円広志「夢想花」、宮史郎「女のみち」、クリスタルキング「大都会」、松村和子「帰ってこいよ」、尾形大作「無錫旅情」、高山厳「心凍らせて」、CCB「Romanticが止まらない」、西田敏行「もしもピアノが弾けたなら」、佳山明生「氷雨」、半田浩二「済州エア・ポート」、浜田省吾「悲しみは雪のように」、大沢誉志幸「そして僕は途方に暮れる」、猿岩石「白い雲のように」、GAO「サヨナラ」、大泉逸郎「孫」、KAN「愛は勝つ」、花*花「あ~よかった」、Kiroro「長い間」、波田陽区(ギター侍)、はなわ、楽しんご(ラブ注入)。一発屋予備軍は植村花菜「トイレの神様」、ジェロ「海雪」、秋元順子「愛のままで・・・」など。近年はその一発ヒットもなくなった。
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