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2017年4月10日 (月)

紅茶が冷めないうちに

     茶は古くから中国で発達してきたが、17世紀になって東西文化の交流が盛んになるにつれて、ヨーロッパに紹介され、広く愛飲されるようになった。中国からヨーロッパに輸出された茶は、釜煎茶(緑茶)と、自然乾燥の半発酵のウーロン茶で、黒色をしていたのでブラック・ティと呼ばれていた。今でもイギリスでは紅茶のことをブラック・ティと呼び、他のヨーロッパ諸国でも同様の表現をしている。フランス語では紅茶をノワール(noir)という。18世紀後半に入って、アヘン戦争を起こしたイギリスは、それまで中国から持ち帰っていた茶が買えなくなったので、植民地であったインドで茶の栽培を始めて、これがインド、セイロン茶の起源である。1890年トーマス・リプトン(画像、1848-1931)は茶商人が暴利をむさぼってることを知り、セイロン島でアッサム茶の大規模な栽培を始め、独自のブレンドを作り出し、これを缶入りで廉価で発売した。紅茶事業に成功し、世界的な紅茶メーカーになった。

 午後の紅茶の時間はイギリス人にとって大切な習慣である。ヘンリー・ジェイムズは次のように書いている。「そのときの事情にもよるが、午後のお茶と呼ばれている儀式に捧げられたひとときほど気持ちのよいときは、この世にはめったにないものである。お茶を飲もうが飲むまいが もちろんけっして飲まない人もいるのだが お茶どきの雰囲気がそれだけで楽しいといった場合があるのだ。」(「ある婦人の肖像」 1881年) 

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