珍しい苗字の一般化
剛力彩芽は珍しい苗字であるが、芸名ではなく本名だそうだ。本人は「1回で覚えてもらえるラッキーネーム」といっている。「日本姓氏語源辞典」によると、「静岡県三島市。高力の異形。修験者に従って荷物を運ぶ従者の呼称の強力は、剛力とも表記した」とある。忽那汐里もいまでは「くつな」と誰でも読める。
1980年前後、薬師丸ひろ子や荻野目慶子がデビューしたころ、漢字3文字の珍しい苗字が話題となったが、今ではあまり珍しいとも感じなくなった。芸能人が苗字を一般化するのに大きく貢献することがある。東海林と書いて「しょうじ」と読むのは、よく知られている。おそらく歌手の東海林太郎の存在があるからだろう。もともと山形では「とうかいりん」、秋田では「しょうじ」と読む。
左右田一平の芸名由来は酒好きで、「そうだ、一杯(いっぺい)やろう」の洒落だったが、左右田(そうだ)姓の一般化に貢献している。
歴代内閣総理大臣の名前を見ると、伊藤・加藤・吉田・田中など平凡な苗字が多い。幣原喜重郎の苗字は「しではら」と読む。現在でも一般化しておらず、読める人は少ない。つまり芸能人やスポーツ選手のほうが政治家より苗字は一般化しやすい傾向にある。
市毛(いちげ)、蛭子(えびす)、忍成(おしなり)、神代(くましろ)、設楽(しだら)、梵(そよぎ)、筒香(つつごう)、蜷川(にながわ)、羽生(はぶ)、毒島(ぶすじま)などの珍しい苗字がスラスラ読めるのも、市毛良枝、蛭子能収、忍成修吾、神代辰巳、設楽りさ子、梵英心、筒香嘉智、蜷川幸雄、羽生善治、毒島章一など各界に著名人がいるからであろう。
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