水で水を洗う
清朝の乾隆帝は、水にやかましかった。自分が巡行するときは行く先々の水を調査させることが習わしだった。それは銀瓶と精密な計器をもっていって水の重さをはかり、軽いものを上としたのである。その結果北京西郊の玉泉の井水を天下第一泉として、巡行のときはこの水をもって旅行した。しかし車や舟に揺られ日が経つにしたがい水質は落ち、係の役人は行った先の水でこの玉泉の水を洗うことにしていた。それは大きな甕に玉泉の水を移しその分量をはかっておき、その土地の水を加えてよくかきまわして静かにしておく。そのうちに重い水は下によどみ、上面は軽い水だけになり、これをもとの分量だけ汲み出す。まさに「水で水を洗う」というやり方で、今日からみれば滑稽な水質検査であろう。(清朝野史大観)
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