江戸いろはかるた
世界の国々には多くの諺や格言、箴言などがある。我が国でよく知られるのは「いろはかるた」である。カルタはポルトガルから伝来したきたものであるが、それを真似して「天正かるた」が作られた。「江戸いろは」は「犬も歩けば棒にあたる」で始まり、「上方いろは」は「一寸先は闇」で始まる。江戸いろはが世態風俗から生じた人間の知恵というのに対し、上方いろはは商売繁盛を願いながら、人間世間の嫌な面も入れているのが特徴であろう。作られたのは江戸後期で、何年何月という記録は不明であるが、明治、大正となるにつれ、江戸いろはが全国的に知られるようになったものであろう。現在、遊びとしての「かるた」の頻度は減少したが、その句は日常の会話で、知らず知らずに使われている。
い 犬も歩けば棒にあたる
ろ 論より証拠
は 花より団子
に 憎まれ子世にはばかる
ほ 骨折り損のくたびれ儲け
へ 屁をひって尻すぼめ
と 年寄りの冷や水
ち 塵もつもれば山となる
り 律義者の子だくさん
ぬ 盗人の昼寝
る 瑠璃も玻璃も照らせば光る
を 老いては子に従い
わ 割れ鍋にとじ蓋
か かったいの瘡(かさ)うらみ
よ 葭の髄から天井を覗く
た 旅は道づれ世は情け
れ 良薬は口に苦し
そ 惣領の甚六
つ 月夜に釜をぬく
ね 念には念を入れ
な 泣きっ面に蜂
ら 楽あれば苦あり
む 無理が通れば道理ひっこむ
う 嘘からでたまこと
ゐ 芋の煮えたもご存知ない
の 喉もとすぎれば熱さわするる
お 鬼に鉄棒
く 臭いものに蓋
や 安物買いの銭うしない
ま 負けるのは勝
け 芸は身を助ける
ふ 文はやりたし書く手は持たず
こ 子は三界の首枷
え 得手に帆をあげ
て 亭主の好きな赤烏帽子
あ 頭かくして尻かくさず
さ 三べんまわって煙草にしょ
き 聞いて極楽見て地獄
ゆ 油断大敵
め 目の上の瘤
み 身からでた錆
し 知らぬが仏
ゑ 縁は異なもの
ひ 貧乏ひま無し
も 門前の小僧習わぬ経を読む
せ 背に腹はかえられぬ
す 粋は身を食う
京 京の夢大坂の夢
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