漱石が見つめた近代
姜尚中がゆく、漱石が見つめた近代。ハルピン駅構内には今も伊藤博文暗殺事件の現場が残っている。△が安重根が狙撃した場所。□が伊藤博文がいた場所。番組で姜は「この距離は僅か2~3mぐらいでしょうけど、これが歴史を大きく変えて何か日本と韓国との距離を示しているような気がします」と語っている。映像でみると伊藤と安重根との距離は、2~3mではなく、4~5mくらいのようにみえる。近年、伊藤公暗殺の真犯人はロシア特務機関という説も出ている。漱石は小説「門」で次のように書いている。
「時に伊藤さんも飛んだ事になりましたね」と云い出した。宗助は五六日前、伊藤公暗殺の号外を見たとき、御米の働いている台所へ出て来て、「おい大変だ、伊藤さんが殺された」と云って、手に持った号外を御米のエプロンの上に乗せたなり書斎へ這入ったが、その語気からいうと、寧ろ落ち付いたものであった。「貴方大変だって云う癖に、些とも大変らしい声じゃなくってよ」と御米が後から冗談半分にわざわざ注意した位である。その後日毎の新聞に、伊藤公の事が五六段ずつ出ない事はないが、宗助はそれに目を通しているんだか、いないんだか分からない程、暗殺事件に就ては平気に見えた。
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