愛欲の十字架
跡を絶たない痴漢行為や盗撮などハレンチ事件が毎日のように新聞社会面をにぎわしている世の中。「木魚の割れ目でおもいだす」 聖職者、教師、医師、裁判官、警察官でも、心の情動にかられて、欲情行動をおこすことはあるだろう。賢者といわれたダビデ王も入浴するバテシバを見て、過ちを犯かしたことがある。人類の教師といわれるアリストテレスでさえ、こんな痴話が伝わる。マケドニア王フィリッポスは王子アレクサンドロスの教育ために、アリストテレスを招聘した。若い王子は学問よりも美少女フィリスに溺れていたため、アリストテレスは2人の仲を遠ざけた。そのことで恨んだフィリスはこの哲学者に復讐しようとして一計を案ずる。彼女は裸足でアリストテレスの窓の下を歩き、わざとその艶かしい素足を見せる。すると、たちまちは老哲学者は彼女の虜になり愛を告白したので、フィリスは、その気になったふりをして、翌朝自分を馬乗りさせて庭を歩くように指導する。フィリスに知らされて王子が庭をのぞくと、だらしなく美女を背中に乗せて悦にいっている哲学者の姿を目の当たりにして、王子は学問の限界を悟ったというのである。西欧艶笑小話の一つであるが、考えさせられるものがある。
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