ナトゥフィアン文化
日本でもゴードン・チャイルド(1892-1952)の名前は「文明の起源」(岩波新書)などでよく知られている。ところがチャイルドのオアシス起源説は今では否定されているらしい。農耕・牧畜の起源は平野部よりもイラクの高地で起こった。獲得経済から生産経済への移行の問題であるが、人類自らの手で栽培するというより、イラク北部の高地では野生のムギ類がよく育った。現在ではナトゥフィアン文化(前10500年~前8500年)と呼ばれている。ナトゥーフ期を命名したのが前回記した女性考古学者ドロシー・ガロッド(1892-1968)である。奇しくもチャイルドと同年である。ジャルモ(前7800年ころ)からは150人ほどの初期集落趾とエンマー小麦・豆類、ヤギ・犬・豚の家畜化がなされていた。ヨルダン川西岸のイェリコ(前7600年ころ)からは2000人の大集落趾と高さ9mの塔が発見された。農耕・牧畜は高地から始まったのである。
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