蝦球物語
長編三部作。第一部、母子二人ぐらしの貧しい少年蝦球(シアチウ)は家出して浮浪児となり、香港波止場で問屋や密輸団に使われ警察につかまる。のち浮浪収容所に入ったが逃げ出し、スリ仲間にはいって、サンフランシスコ帰りの老人から大金をすりボスにわけまえをもらう。家に立ちよると、その老人が病に倒れている。それこそ、彼が幼いとき出稼ぎにいっていた父親なのであった。第二部、第三部では、ふたたび家をとび出した彼はボスの手下となり、海南島へ船で荷を運ぶ途中でてんぷくし、大陸の岸におよぎつく。ボスは手下をみごろしにし自分だけボートで逃れたが、彼が大陸であった六路軍は立派であった。彼は浮浪仲間とともに八路軍の遊撃隊に投じ、大軍に包囲されたり、苦戦をつづけるうち、戦闘の中でしだいに成長をとげてゆくという物語。黄谷柳(1908-1971)は中国現代作家。南方日報の記者となり、広東、香港に取材する作品をもって戦後文壇に登場、「少年少女」「生命の幼笛」等があり、「蝦球伝」(1948)はその代表作。
« キーツとファニー・ブローン | トップページ | ナトゥフィアン文化 »
「世界史」カテゴリの記事
- 李氏朝鮮はなぜ元号がなかったのか?(2023.05.24)
- ハインリヒ5世(2023.05.23)
- 劉裕と陶淵明(2023.05.22)
- ポーランドの英雄ヤン・ソビエスキ、国王に即位する(2023.05.21)
- ゴンブルサ事件(2023.02.18)
コメント