成島柳北「歳旦の口占(こうせん)」
婦子朝來甑塵を掃う
蕭條たる破屋又新春
書を売り剣を売りて家貲盡く
幸ひに是れ先生未だ身を売らず
語釈 「歳旦」とは元旦。新年の第一日。「口占」とは詩文を作るのに、草稿を書かず口ずさんで文案を作る。通釈、朝早くから、妻や娘が台所で鍋墨を落とす音の聞こえるのは、貧乏暮らしのこの破屋にも、新年が訪れて来たのだ。思えば年々に生計は苦しくなり、書画を売り刀剣を売り払って、家財も今は尽き果てているが、幸いにこの家の主人柳北先生(私)は、まだその身を売り物にするまでにはおちぶれぬ。
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