スメルジャコフの瞑想
本日はロシアの文豪フョードル・ドストエフスキーの忌日。「カラマーゾフの兄弟」(1879)は神の実在に関する宗教論が絡む長くて難解な小説ではあるが、父親殺しというミステリー要素が含まれるので最近多くの読者がいるという。私の所蔵している版は1953年の米川正夫の訳である。先日、ロシア映画を見たので、ようやく概要がつかめた。ネタばれありの人物紹介にはズバリと書いている。「スメルジャコフ。フョードルが乞食女に生ませた私生児。癲癇病者。カラマーゾフ家の料理番をつとめていたが、私生児の境涯をうらみ、実父を殺して金をうばい、巧みにおのれの犯罪をドミートリイに転嫁する。下劣な奸智にたけた悪魔的人物」とある。この解説が当を得ているのか分からないがスメルジャコフの犯行の動機には謎が多いように思える。イワンから教えられた哲学思想に惑わされたとする説、癲癇説、ドミートリイへの妬み、奇妙な強迫観念など。ドストエフスキーはイワン・クラムスコイの絵画「瞑想する人」(1876)を観賞しスメルジャコフに重ねあわせて、「スメルジャコフもこうした瞑想者の一人であって、やはり同じように自分でも何のためともしらずに、こうした印象を貪るように積み重ねていたに相違ない」と記している。(第3篇第6スメルジャコフ)(Dostoevskii,Ivan Kramskoy,Smerdyakov,Karamazov)1月28日
« 現ロシア連邦の面積は旧ソ連の面積の約76% | トップページ | ドストエフスキー「白痴」知ってる? »
「世界文学」カテゴリの記事
- 繃帯を巻いたアポリネール(2023.04.09)
- アレオパジティカ(2023.02.09)
- ワシリ―・アクショーノフ(2023.02.05)
- 青ひげ物語(2023.02.04)
- マーティン・マルプレレット論争(2018.11.02)
コメント