オレゴンの悲劇
1945年5月5日、オレゴン州ブライに住む、アーチ―・ミッチェル牧師(27歳)は礼拝後、妻エルシーと日曜学校の生徒5人を車に乗せて、森林公園へピクニックに出かけた。到着地でかれらを降ろした牧師は、駐車場を探して、ようやく弁当などを運び出そうとしていた。「風船みたいなものが木にぶらさがっているよ」子どもたちの声を聞いた時、凄まじい轟音が反響した。爆発したのは日本から太平洋を越えて飛来した風船爆弾だった。風船爆弾は、蒟蒻糊で和紙を固めて出来た気球に水素ガスを入れて、爆弾を搭載して空に飛ばすという兵器である。日本軍は約9300発を放球し、うちアメリカ本土に到着したのは287件と推定される。犠牲者はこの日の民間人6名である。エルシー・ミッチェル(26歳)、ジェイ・キフォード(13歳)、エドワード・エンガ―(13歳)、シャーマン・シューメイカー(11歳)、ディック・パッチ(14歳)、ジョアン・パッチ(13歳)。太平洋戦争の勝利を確信しているアメリカ政府は、わざわざ恐怖をあおる必要はないと考えこの事件は極秘扱いされた。のちにこの事件は「オレゴンの悲劇」と呼ばれている。(参考:鈴木俊平「風船爆弾」)
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