ゴッホとイタリアの女
1886年冬から1888年2月19日まで、ゴッホのパリ時代といわれる。パリではロートレック、エミール・ベルナール、ドガ、ピサロら印象派の画家たちと親しくなり、日本の浮世絵版画とも出会った。だがわずか1年ばかりで南仏アルルへ行ったのはなぜだろう。陰鬱なパリの気候、あるいは深酒の習慣を治したかったのか。それともう一つ考えられるのは、13歳年上のイタリア女性アゴスティーナ・セガトーリ(1841-1910)とのただならぬ愛人関係である。彼女をモデルとした数枚の絵が残っている。「カフェー・タンブランのアゴスティーナ・セガトーリ」(別名タンブランの女,1887)、「イタリアの女」(1887)である。クリッシー通りにあるいかがわしい酒場デュ・タンブラン(キャバレー)の女主人セガトーリはイタリア生れの46歳。「タンブランの女」(F370)には仕事を終えてほっとしている表情にどこか虚ろにみえる。煙草と飲酒によって疲れている様子がうかがえる。ゴッホもパリでアブサンを飲むことをおぼえ、健康を損なうようになった。「イタリアの女」(F381)もモデルはセガトーリとするのが定説である。ニューヨーク個人蔵の「草原に座る女」(F367)はモネの影響が見えるが、モデルはやはりセガトーリであるかもしれない。
( keyword;van Gogh,Agostina Segatori,Paris Clicy,Femme au Tambourin )
« 80日間世界一周 | トップページ | 女優岡田嘉子の帰還 »
「ゴッホ」カテゴリの記事
- 日本で観れるゴッホの作品(2019.02.04)
- 印象派と鉄道(2014.12.18)
- 「炎の画家」でないゴッホ像(2014.03.06)
- フィンセント・ファン・ゴッホ その名前の足跡(2013.11.09)
- ゴッホ2題(2013.09.10)
コメント