鏡に映る自我
アメリカの社会学者チャールズ・ホートン・クーリー(1864-1929)は、ある個人が自分がどういう種類の人間であるかという自画像をどのように発達させていくか説明するために「鏡に映った自己」(looking glass self)という概念を定式化した。彼によれば、自己についてのイメージは、次のようなことを通して形成されるのである。1)自分が他者にどうみえるかを想像すること,2)自分がどうみえるかという他人の判断についての知覚,3)こうした判断に対するわれわれの感情、われわれは、自分に向けられた他者の反応の知覚を通して、自己のイメージを形成する。美しい少女は、彼女がどんなに美しいかと人からいわれることによって、自分が美しいことをはじめて知るものである。もしこうしたことがたびたび繰返され、また常に評価が一貫していれば、こうした反応が彼女のパーソナリティに組み込まれ、その結果、ついには彼女は美しい女性として感じ、行動するようになる。たとえ美しい少女であっても、もし幼児期に両親が彼女の容貌に失望して、それを弁解するように振舞い、彼女が魅力的でもなく、ほめられるに値しないとうように取扱うと、彼女は平凡な少女だと信ずるようになるだろう。
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