20世紀初めのイタリア
最近イタリアで大きな地震があった。イタリアは地震国だが、20世紀初めにも2つの大地震が発生した。1908年12月28日、イタリア南部シチリアからカラブリアにかけて発生した。マグニチュード7.2、死者は約8万2千人。メッシーナ地震である。そして1915年1月13日には中部イタリアのアヴェッツァーノで発生した。マグニチュード6.9、死者3万3千人という大災害だった。ローマ市内では路面電車が脱線するなど大混乱に陥り、サン・ジョバンニ聖堂の被害も大きかった。アヴェッツァーノ州では交通が途絶え、17ヵ村が完全に破壊された。
前年7月に第一次大戦が勃発し、大戦中の出来事である。イタリアはドイツ・オーストリアと三国同盟で結ばれていたが、ジョリッティを継いだアントニオ・サランドラ(画像)内閣は中立を宣言して戦局の推移を見守った。政府は秘密裏に英仏とロンドン条約を結んで、協商側につく見返りとしてトレンティーノ・トリエステ・ダルマーツィァを取得する約束を得た。この秘密条約にもとづいてイタリアは三国同盟を破棄し、1915年5月24日オーストリアに対する宣戦を布告する。オーストリアとの戦争は、一進一退を繰り返したが、1917年のロシア革命後、独墺軍はロシア戦線の兵力をイタリア戦線に投入できるようになった。イタリアはカポレットの戦いで大敗し、超党派の集団として議員国防ファッショが結成される。これによって1918年10月のヴィットーリォ・ヴェーネトーで決定的な勝利をおさめて戦局の逆転に成功する。11月に休戦協定。翌年3月ムッソリーニはミラノで「イタリア戦闘ファッシ」を結成する。その4年後、日本では関東大震災が勃発する。大災害からファシズム国家というコースは共通する。(世界史)
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