ジョージ・ワシントンの悔恨
1789年のこの日、ジョージ・ワシントンはニューヨーク市立図書館から2冊の本を借りた。国際関係論と議会討論に関する本で、返却期限は11月2日だった。ところが、ワシントンは国事に忙殺されて本のことはすっかり忘れてしまった。結局、ワシントンの死後もその2冊の本は長らく未返却のままであった。ジョージ・ワシントンといえば、少年時代、父が大切にしていた桜の木を切ったことを正直に話して反省したという逸話がよく知られている。いわば正直者のシンボルであるワシントンが本の長期延滞者であることはアメリカ図書館関係者にとって長い間、悩みの種であった。ニューヨーク市立図書館は当時アメリカでも唯一の図書館で初期の貸し出し記録にワシントンの未返却本があることを憂慮していた。延滞料は221年で約43万円になるという。だが、最近ジョージ・ワシントン邸の管理団体が同じ版の図書を約100万円で調達し、ニューヨーク市立図書館に返却したという。ジョージ・ワシントンは長期延滞者として世界図書館史に残る記録を樹立したのである。(10月5日)
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はじめまして。ワシントンが本を延滞していたことを初めて知りました。
最長延滞記録保持者は今年で1043年になるオットー2世ではないかと思います。
972年8月にザンクト・ガレンの図書館から Psalterium quadrupartium (現在の所蔵先はBamberg Staatsbibliothek) など数冊を借り、いまだに返されていません。
ギリシャから輿入れしたテオファヌとの婚礼直後なので、ラテンーギリシャ対訳のある同書を、語学学習のため借りたと考えられています。
投稿: PL | 2015年10月10日 (土) 17時11分