
「出獄の日のO氏」 信濃美術館
大正8年のことである。秋の二科展に林倭衛(1895-1943)は「出獄の日のO氏」を出品することにしたが、直前に東京検事局の係官が事前検閲にやってきて、検事控訴中のアナーキストの肖像画が展示されるのは好ましくないとして撤回命令が出された。O氏とはアナーキスト大杉栄のことで林倭衛とは親交があった。東京監獄から出所した際、駆けつけた林倭衛は、その場で大杉の肖像画を描いた。日本の近代美術史上で思想問題で権力が介入した初めての事件といわれる。大杉は4年後、関東大震災時の戒厳令下に憲兵らに虐殺される。(9月16日)
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