別れのテープ
春風のテープもつれる別れたのしく
出てゆく汽船の、入りくる汽船の、うららかな水平線
種田山頭火
ドラが鳴って、タラップは外され、船と岸壁を結ぶロープも解かれ、船が動き出す。見送る人と見送られる人との間には、色とりどりの紙テープで結ばれている。やがて、船は港を離れ、テープはプチっと切れていく。この別れのテープが考案されたのは、今からおよそ100年前の1915年のこと。サンフランシスコで博覧会が開かれ、日本から出品された包装用の紙が大量に売れ残った。サンフランシスコで近江屋商店というデパートを経営していた日本人移民の森野庄吉は、余った紙で、船出のテープにするアイデアを思いつく。これがサンフランシスコで大当たりして、またたくまに世界中の港で「別れのテープ」が習慣として広まっていった。(参考:杉浦昭典「海の慣習と伝説」 1983年)
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