忘れられた大スター
洋画にも忘れられた人気スターがいる。時代は古く、活躍が無声映画からトーキー初期なので現在の我々が知らないのは当然としても、映画史などにもあまり出てこないし、スター名鑑の類でも紹介されることは少ない。チャールス・ファーレル(1901-1990)である。彼の出世作「第七天国」は映画史に残る名作であった。「第七天国」とは貧乏アパートの七階の屋根裏に住むファーレル君が自分の部屋につけた名称である。青年は貧しいけれども楽天的で、どん底生活でも希望を失ってはいない。昭和2年、映画は日本でも当たり翌年にはほとんど同じストーリーで南光明主演で「天恵」が作られた。だがファーレル君の人気は数年だった。つまりバレンチノが急死して、クーパーの「モロッコ」が現われるまでの昭和2年から昭和5年までが、日本の女性ファンの人気のピークだった。出演作は「三人娘」「第七天国」「街の天使」「サニー・サイド・アップ」「ハッピー・デイズ」「友愛天国」「再生の港」「春を讃える」「デリシャス」「第一年」「嵐の国のテス」「紐育の口笛」「月光の曲」「紅の翼」「街の野獣」など。ほとんどがジャネット・ゲーナーとの共演である。彼女の引退とともにチャールス・ファーレルの名も人々の記憶から消えていった。1990年6月6日(享年88歳)と長命だった。晩年は悠々自適の生活だったのだろうか。
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1901年生まれといえば、あのクラーク・ゲーブルと同じ歳ですね。
投稿: | 2014年6月 6日 (金) 09時44分